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アイエヌスタジオ 一級建築士事務所
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WORKS



神の山とメゾネット

Duplex with popocatepetl







 

団地のイレギュラー|建築家マリオ・パニによる団地の一室の改装。玄関を入るとすぐ階段があり、何度も折り返しながら上って主室にたどり着き振り向くと、大きな梁の折り重なる先にポポカテペトル山とイスタシワトル山のある景色が見えるという、実に複雑な経験をすることになる部屋。それはこの部屋が雁行した団地ブロックの角にあたり、必要諸室が無理に納められているためである。芋づる状に連なった空間をつづら折りのようにして納めることにより生まれた迷宮である。

シークエンス|この空間体験の複雑さは、シーンの連続として展開することができる。すなわち、玄関から踊り場までの登りとそこで見える高い壁、踊り場から主室までの登りとそこで見える突き当りの壁、階段を上り終えて折り返して見える梁と外の景色、主室終端の食卓から見る主室他端。山登りをするなかで、道の勾配や曲りといった身の回りの状態と、そのときの向きやによって変わる景色が、セットとなって動的に変化していく、その経験によく似ている。この改装では各場所での行為と風景のセットを設計した。たとえば階段の登り終わりごろに見える透過度の高い壁(棚と納戸)、窓からの奥行き方向に沿って反復し段階的に照度を変える板(棚)、景色を参照した枝の紋様の影(天幕)、食卓の丸テーブルとセットの丸い明かりと屋根型(照明器具と天幕)、などである。これらの棚・納戸・天幕は主人の求めていた収納および剥がれた天井の修繕に対し、機能的に応じている。

手工芸的であることと汎用性|棚は自分たちで施工、天幕は町のテント地の看板屋に発注、照明は旧市街で買った器具と民芸品屋で買ったカナスト(行商のためのカゴ)であり、大工ほか専門家の手は一切借りていない。全ての材料と工法はごく一般的なものであり、設計ではそのレイアウトの仕方に関与したにすぎない。このことが方法の汎用性を担保している。




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